肝だめし
第8章 叫喚
謝罪参りをしてからは不可思議な事も起こらず、月日が経つにつれ恐怖も反省も薄れてく
振り返ってみれば、なかなかの怪談絵巻
高校生になると、よくこの体験をネタにして友達を怖がらせてた
まだ生々しく脳裏に残像が残ってたので今より話し方もリアル
思ってた以上に怖がってくれるのが楽しかった
もちろんネタにしたからといって、その後に怖い現象が起る事もない
全ては過去の出来事
あの女が現れる事はもうないと信じきっていた
高3の試験前、俺は友達の家でノートを写させてもらっていた
一通り写し終えてのんびり喋ってると、一人がこう言った
「ショウ、あの怖い話してや」
当時、噂は知ってても話を聞いてない友達がたくさんいた
話してと言われても手軽に話せる長さじゃないので断る事も多かったから
この2人もそう
でも今なら落ち着いて話せそうだ
「よし、話そうか」
雰囲気を出すために雨戸を閉め、オレンジの豆球だけを灯した