テキストサイズ

肝だめし

第8章 叫喚


部屋が一気に明るくなって、それまでの淀んだ空気が一掃された

こうなればもう平気

振り返って部屋全体を見渡しみる

捲れ上がった布団…

転がるスピーカー…

抜けたコンセント…

夢ではなく現実だった事を思い知る

そして問題の押し入れ

ここが開いてたら完璧なのだが閉まったままだ

とりあえず襖を開けて中を確かめてみる

ズズズ…

そう、さっき聞いたのはこの音だ

恐る恐る中を覗いてみたが何も動いた形跡はない

「そらそうやな…」

結局手がかりになる様な物は何もなかった

ただ正体は分かってる

あの女だ

あの女が3年ぶりに現れたんだ

昼間にあの話をした事でまだ呼び起こしてしまったらしい

「ヤバいな…」

今日だけで終わるとは思えない

しかも今回は完全な現実世界に出て来てる

「無理…」

俺はあの墓前へ再び謝りに行く事を決めた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ