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リアル

第11章 9

エレベーターを見るともう一階に着いている





ゆうは非常階段を飛ぶ様に駆け下りた



エントランスの自動ドアが開く速度が遅く感じ、もどかしい




外に出て、辺りを見渡す




美和を見つけると走り出した




美和!




名前を呼びやっとの思いで美和の手首を掴んで止めた



はあ、はあ




ゆうは走って荒くなった息を整えた




美和は下を向いている




美和の手首をそっと離しながらゆうが言った




美和、別れよう。




美和がキョトンとした表情でゆうを見上げた




ゆうの言葉の意味が理解出来ず心の中で何度も繰り返してみる…心臓がばくばくと脈を打ってきたのを感じた




手にも足にも力が入らず、崩れ落ちそうになるのを必死で堪えた





ゆう以外何も見えなくなった





ゆうの袖をチョンチョンと引っ張りながら美和が言った




何言ってんの?浮気くらい、いいんだよ。戻って来てくれたら。



…ね?




美和がおどおどしながらゆうの目を覗き込む





ゆうは黙って悲しい目を美和に向けている




え?何で?ゆう?




ゆうの袖をチョンチョンと引っ張る手が震えている




美和の大きな黒目がうるうると涙に歪む




じゃあ、友達に戻れる?




ゆうがゆっくりと頭を横に振る




友達には戻れないよ。




何で?私、絶対信じないよ!だって、ずっと優しかったじゃん!



嫌だよう…




美和の目から大粒の涙が溢れてくる





私の事嫌いになった!って言わないと、絶対信じない!





今美和を抱き締めたら余計に苦しませる





泣きじゃくる美和を抱きしめたい思いで一杯のゆうは差し出しそうになる腕を必死で堪えていた





だって、嫌いになる訳がないだろう







































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