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theDecalogue

第5章 贖えない因果の連鎖

先に自宅に着いた凌生は、部屋を荒らしながら望遠鏡を見つけると床に据えて優花を必死に探している。
真聖はマンションの駐車場に停めるとドアを開けて優花を引っ張り出して腕を掴んでエントランスまで強引に歩かせる。
「…お兄ちゃん…待って…痛いよ…離して」
優花は小さな悲鳴をあげる。
「黙ってろ」
優花が逃げようとすると、真聖は胸に引き寄せて薬物の染み込んだ布で優花の唇を塞いた。
脱力した優花を抱えるとエレベーターに乗った。
階に着き、部屋の前で乱暴に鍵を突っ込んでドアを開けた。
真聖は靴を脱がせる間もなく優花をベッドに転がした。
目を覚ました優花は体を起こすと
「…何でこんな酷いことするの?お兄ちゃん何とか言ってよ」
真聖のシャツの胸元を強く握った。
「優花が逃げたりするからだろ」
真聖の言葉に、優花の指先の力が緩んでいく。
「…だって、そうするしかなかったじゃない。わたし達、過ちを犯したんだよ。兄妹なのに愛し合ったらだめなんだよ。…わたし、どうしたら良かったの?」
悲痛な面持ちで今にも泣き崩れそうになるのを優花は耐えて、真聖の胸元を叩いた。
力なく叩く優花の腕を掴んで
「何もかも忘れろって言うのか?俺への気持ちも全部嘘だったのか?あんなに優花は俺を求めて愛し合っていたのに。俺は今でもこんなに優花を愛しているのに」
優花を床に強引に倒して押さえつけると、真聖が覆い被さった。
「…答えてくれよ優花」
真聖の涙が優花の頬を伝う。
「…お兄ちゃん」
震える指先で真聖の頬に触れ、次々と零れてくる真聖の涙を拭う優花がいた。
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