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僕は君を連れてゆく

第7章 桜の色


「こんな地図じゃわかんないよ…」

昔からの友達の家に今日からお世話になるために実家から出てきたんだけど…

書いてくれた地図ではここからどちらに曲がるのか全然わからない。

「どうしよ…」

聞けばいいんだけど…

信号が、青になってるのに渡らない俺を追い越してく人たちが横目で俺を見ていくのがわかった。

一か八か… 

次にこの信号に来た人に…

きたっ!!!

「あの…」

「ここを渡ってすぐの道を左に。そのまま突き当たりまで歩くと玄関に春になるとチューリップがたくさん飾られる家の前を通って…」

春になるとって…

じゃぁ、夏になると、どうなるんだろう…

面白い人に声かけたな…

すると、その人が大きなくしゃみをした。

自分の持ってるハンカチを差し出した。

優しく微笑んだその人に俺は自分の心も優しくなってることを感じた。

それから、別れて春なると分かる目印の家の前を通って、友人の家についた。

チャイムを鳴らしたら友人が出てきた。

「ニノ、マジで来たんだ…」

「お世話になります。早く、なるべく早く家決めるから‼それまで‼よろしくお願いします!潤くん!」

ニノのお願いはいつも急なんだよな~とか言いながらコーヒーを入れてくれて。
やっぱり、優しいんだよな。

「地図わかっただろ?」

「こんなんじゃわかんないよ~」

「えっ?じゃ、どうやって来たの?電話くれれば迎えに行ったのに…」

「あ…そうだ…」

「誰かに聞いたの?」

「うん…まぁ…」

信号で声をかけて道を聞いたことを話した。

「春になるとわかる玄関の目印ね…どこの家かな…」

それから潤くんはここらへんの道と周辺に何があるか話してくれた。

川沿いの道は桜の木が連なっていて春になるとお花見で賑わうんだとか。

「近くに住めればいいよな…」

ニュースで春の花の名所を紹介していた。

一面が黄色の絨毯になっていて奥に桜の花のピンク、空のきれいな青。

こんな綺麗な場所があるんだな…

なんかわからないけど、昼間に会ったあの人のことを思い出した。

優しく笑った顔は春みたいだったな。

「また…会えるかな…」

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