ガラスの靴がはけなくても
第8章 眠りたくない夜
おでこの髪をかき分けて優しくひとつキスを落とす。
「コーヒーもお茶もいらない。俺がどんだけ我慢してたか分かる?」
分かりません!なんて言える雰囲気なんかじゃないのは分かってるけど。
そこでも私はやっぱりテンパっていたからか、
「分かりました!とにかくシャワーを浴びましょう!!」
なんて甘い雰囲気も壊してヤル気マンマンの返事を何故だかチョイスしてしまった。
さすがの部長も呆気に取られ、その後は声を出して笑っていた。
「そんなに大胆だなんて予想外だな」
「違います!そういう意味じゃ…!」
「そういう意味って?」
「…っ!とにかく!浴室はこちらです!!」
もう恥ずかしすぎてどうにかなりそうだった。
いやもう、どうにかしてたんだと思う。
笑い続けながらも、部長はちゃんと脱衣場までついてきてくれた。