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ガラスの靴がはけなくても

第3章 理性と本能



でも、


「藤野さんの失恋に」


「「「かんぱーい!!」」」


これはどういう事だか教えてもらいたい。

今日は香織さんに誘われた合コンの日のはずなのに、居酒屋の座敷に集まる面々は明らかに知った顔ばかり。


「香織さん…。会社の飲み会ならそうと言ってくれれば良かったじゃないですか」


「いや~前の合コンの話潰れちゃって。急遽集めたの。ほら、でも知らない人だっているでしょ!?あの総務の岡田くんなんてどう?」


私としては合コンじゃなくて飲み会の方が気が楽で良かったんだけど、どうもそれを悪く思っている香織さんは仕切りに男の人を勧めてくる。


「…あの人は岡田じゃなくて岡本さんです。ちなみに結婚されてます」


「小さいことは気にしないの~。まぁ、飲んで飲んで」


……もう何でもいいやと手にあるジョッキを口に運ぶ。

それにしても香織さんの顔の広さには驚く。
急遽と言ってもこの座敷には軽く20人もの人が集まっているんだから。

これも気さくな人柄だからなのかすごいなと素直に感心する。

綺麗で明るく社交的な彼女は実は私の憧れでもあるんだ。

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