ガラスの靴がはけなくても
第4章 揺れる
「なんだ起きてたのか?」
ドアが開いた音と共に聞こえた声に心臓が飛び出るんじゃないかってくらい驚いた。
いや、分かってたんだけどね。
夢じゃないってことくらい。
カーテンを開けると眩しくて目を細める私の側にツカツカと歩み寄る。
「水。飲めるか?」
「はい…」
私に昨日と同じ銘柄のミネラルウォーターを手渡すとそのままベッドに腰かけた。
数秒の沈黙がとても長く感じて…水を喉に流す私を見つめる視線が突き刺さる。
「なぁ」
「ぐっ、ごほごほっ…」
しまった。
動揺し過ぎた。
「おかしなやつだな」
むせる私に呆れたように笑う部長はいつもと変わらないように感じるのに。