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ガラスの靴がはけなくても

第1章 眠れぬ夜

ずるいと思う。


28歳と言う若さにして部長の役職。
俗に言うスピード出世を果たし、おまけに容姿端麗。
上司と言う強制力だけでなく、男としての魅力をも持つ彼にそんな風に言われたら反抗なんて出来るはずがなかった。



もう、本当に何してるんだか。



医務室の鍵を警備室に返しに行った足で、車を取りに行くと先に出て行った部長が待つ駐車場へと向かった。



携帯を確認する。



「はぁ~…」



ないと思ってはいても期待してしまう彼からの着信。


…やっぱりお言葉に甘えて送ってもらおう。


何だか歩く気力さえ湧いてこない。




プッと短いクラクションが鳴ったかと思うと、白い車が直ぐ側に止まった。


白いバン。
社用車だ。



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