ガラスの靴がはけなくても
第4章 揺れる
「あ~莉乃。後々めんどくさくなるといけないから先に言っとくけど、私も昔そうだったの。好きな人がいたんだけど。振られちゃったの。その時に慰めてくれた人がいてね?まぁこっちもやけくそじゃないけど、その慰めてくれてた人とヤッちゃったわけ」
「はぁ……」
矢継ぎ早に話す内容は今の私の状況にとってもよく似ている。
こんな美人振るなんてどんな贅沢なヤローだよって感じだけど。
だけど、それの何がめんどくさい……
「そん時慰めてくれてヤッちゃった男が宏樹なの。そんでもって好きだった人が桐谷さんだったのね」
「へぇ~…え?………えぇ!?」
開いた口が塞がらないってこう言うときに使う言葉なんだ。今まさに、私、それ。
「まあ、ほんとに昔の話だから。大したことじゃないかもしれないけどなんか黙っとくのもね」
懐かしいわ~と何かを思い出すように笑った香織さんだけど、私はまだ口が開いたままだった。