テキストサイズ

仲村慶彦の憂鬱な日々

第2章 支度

…詰んだ。朝っぱらからあんな情事を見られたとは。

母ちゃんや妹に会いたくないっ!
何言われるかわからんからなっ!
(あっ、そうか!窓から脱出すれば母ちゃん達に会わなくてガッコー行けるじゃん!)



よし、そうなりゃさっさと着替えて脱出!
オレはソッコーに制服に着替えバッグを持って窓を開けた。

…無理っ!!ここ二階じゃん!ゼッテー無理っ!飛び降りたらケガするじゃん!(泣)

それに靴も履いてないしな。
飛び降りてわざわざ玄関開けて靴履いてなんてバカらしっ。
バレないようにそぉっと階段降りてソッコーダッシュしかねぇ!
オレは忍者、オレは忍者だと言い聞かせながら気配を消して階段を降りた。
「…何やってんの?」
「ウワーッ!」「チョッ、いきなりデカイ声出さないでよ!あぁ~、さっきの事ね。大 丈 夫 、ママには言わないからさぁ~へへへっ」
なんと!チクッてないのか。

はぁ、助かった…バレたらマジで人生詰んだようなもんだからな。
「その代わりダンナ!アンタ今いくらあるんだぃ?」
な、なんだ、アニキをユスるってのか?
「確かバイトの給料出たばっかよね?これで勘弁してやるからさっ」と人差し指を立ててよこせと迫る妹っ!

き、鬼畜だっ!なんでこんな鬼畜に育ったんだオマエは!
アンちゃん悲しいぞっ!
財布から千円を出し妹に渡す。
「…テメ、ブッ飛ばすよ?何で千円なんだよ、このタコアニキ!」あぁ~妹がガン飛ばしてる…お兄ちゃん泣きたい!

泣く泣く一万円を妹に渡した。
「お兄ちゃんダイスキ~♪」と言って妹は学校に行った。

あ~ぁ、一万円があっという間に…


アイツは将来ああやって男から貢いでもらうんだろな。


「ヨシヒコ、早く食べて行きなさい!遅くまで起きてるから起きられないのよ、全く!」
朝からウルセー母ちゃんだな。
…物凄い速さで飯をかっ込む。
「ごっそさん、んじゃ行ってくるー。」
「たまには早く帰って勉強しなさい、アンタ来年受験なんだからね」
大学行ける頭なんかねぇよ。
オレの通う高校は共学の公立校、東京都だから都立高校と呼ぶ。その学校の普通科で、学力的には可もなく不可もないぐらいのガッコーだ。
卒業したら、半分は就職か専門学校に行き、もう半分は大学に進学する程度だ。

家からガッコーまではチャリで20分ぐらいの距離だ。

なんだか眠ぃなぁ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ