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仲村慶彦の憂鬱な日々

第5章 疑問

オレはこれでも中学の頃までは、そこそこ勉強も出来た方だった。

中学の頃は、ごくフツーに高校に入り、ごくフツーに大学に入り、そこそこの企業に就職して、それなりの年齢で結婚してそれから子供が生まれて…何て事を漠然と考えていた。



進路相談の時に、もう少しいいガッコーに入れるとセンセーに言われたが、なるべく楽なポジションの方がいいやと思い、学力的には楽勝の高校を選んだ。



それにウチからチャリで20分ぐらいの距離で一番近い高校というのも理由にある。



どうも朝から電車に乗って満員でギューギュー詰めの中に押し込まれ、もしかしたらつい出来心で、女の身体に触れたら間違いなく人生を棒にふるからな。



といっても自身の棒は常にフル回転フル営業だがな、ワハハハハハ!



…しかし退屈だ。



楽勝とナメていた高校に入ったが、周りが意外と学力の高いやつらが揃い、入学してソッコー落ちこぼれた。



親は勉強しろだの、塾に通え、家庭教師をつけようかとあれこれ言ってきた。



オレは高校に入ったらバイクの免許を取りたかったが、オヤジから猛反対をくらい、16になった今も免許がなく、チャリで行動している。



高校生活はそこまでわるくはない。何せウチから近いし、同じ中学の出身のやつらが何人かいるからだ。



…?待てよ。オレはもしかしたら半径10㎞以内でしか行動してないんじゃないか?



ていうか、この16年間、半径10㎞以内で過ごしてきたのでは?

旅行以外で近所を出たためしがない。



なんとっ!オレは半径10㎞以内のちっぽけな人間じゃないかっ!



ノォ~っ!これは狭い、狭すぎる!何て人生だっ!



…でも、そう考えたら他のやつらもそうじゃないか?



近所から通う連中はオレと一緒の半径10㎞以内の狭いやつらじゃないか!

なんだ、一緒か、ワハハハハハ!



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