いとしいとしというこころ
第8章 友達の弟
「雅にい。」
駆け寄ってきた和くんはドンと俺に抱きついた。
和くん…
抱きしめたい。
だけど…
あまりよろしくないなぁ。
素直に嬉しいから一度ぎゅうっと抱きしめて、はたと体を離した。
ここが外だっていうのと、
「ごめん、俺ずっとお風呂入ってない。」
「雅にい、風邪?」
「ううん。風邪じゃないんだ。
ちょっと熱出ちゃっただけ。」
「大丈夫?早く中入って。」
和くんが慌てて俺の背中に手を当てて家の中へと押し込んだ。
二人して俺の部屋に戻るとすぐ布団に寝かされ、おでこを触る小さい手。
「ほんと、熱い。」
「これでも下がったんだよ?」
「うそ…」
「ほんと。」
頼りなげに笑うと和くんも眉を下げた。
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