テキストサイズ

誰も見ないで

第7章 罪と罰と罪と


そうだ
瑞稀君は、俺よりもずっとずっと大変だったんだ


俺はさっきからずっと自分のことばっかりしか頭にないけど

本当に辛い思いをしたのは瑞稀君


だから、それを俺がちゃんと癒してあげなきゃいけない


どうやって?


ベッドの上に転がって、布団を丸めたものをぎゅ、と抱き締めた


とにかく、瑞稀君が笑えるように

……例え、俺のこと思い出さなくても
楽しく過ごせるように


してあげたい


目を瞑って
自分の覚悟を決めるように何度も念じる


瑞稀君が笑っていられるように
頑張る

頑張る


何度も何度も心の中で唱えて

すると瞼の裏に浮かんだのは


『湊斗君』


って俺を呼ぶ瑞稀君の姿と


『お兄ちゃん』


って俺を呼ぶ瑞稀君の姿

涙が滲んで
流れて
枕に染み込んだ


お兄ちゃんなんかじゃない
俺は瑞稀君の恋人なんだよ


言えなかった気持ちが、言葉が頭の中でぐるぐる回って吐き出しそうになる

それなのにこれよりも瑞稀君は辛い思いをしたんだって思うと心臓まで痛んできた


全部、痛い


そうか

これはきっと
瑞稀君を助けられなかった俺への


罰なんだ


ストーリーメニュー

TOPTOPへ