誰も見ないで
第8章 記憶
自分で言ってて虚しいとか
思ってない
モテなかったのは別に気にしてないもん
……ほんとに
「今度家にも連れてくるよ」
正樹なら、きっと話せばわかってくれるし
何かあった時も協力してくれるよね
そして数日後
メールで事情を話していた正樹が家に来てくれた
「お邪魔します」
「正樹くん久しぶり〜〜!!!」
「湊斗のお母さんお久しぶりです」
母さんからの熱烈な歓迎をさらっと受け止める正樹
「湊斗も、久しぶり。…………大丈夫?」
おまけに俺の心配までしてくれて、俺はそれだけで嬉しかった
「うん、大丈夫。来てくれてありがと」
御礼を言うと、頭をぐしゃぐしゃに撫でられた
「瑞稀君も久しぶり」
正樹はパッと瑞稀君の方を向いて、苗字で呼ぶと混乱させるのがわかってるからちゃんと名前で呼んでくれた
「あ……あの……」
「俺のことわかんないよね。聞いてるから気にしなくていいよ」
正樹が優しく笑いかけると、瑞稀君はほっとしたように表情を緩ませた
「はい。ありがとうございます」
よかった
仲良くなってくれそう
「正樹、俺の部屋行ってて。お茶持ってく」