テキストサイズ

誰も見ないで

第9章 何度でも好きになる


そんな状態に
俺の目からまたボロボロ涙が溢れてきて


小さく聞こえた


「みなとく、のことが……す、き……っです」


って声に力一杯瑞稀君を抱きしめた


今まで離れていた時間を埋めるみたいにぴったり抱き合って

お互いの嗚咽を聞いて一層涙を流す


「ごめ、なさ……っ、ごめん、なさい……」


謝罪の言葉を繰り返す瑞稀君に


もういいよ
瑞稀君が俺のところに戻ってきてくれただけでいいよ


って伝えた

それから
ずっとずっと言えなかった


「好きだよ、瑞稀君。大好き」


自分の気持ちも、飽きるほど


涙が収まったら
瑞稀君の髪や額に唇で触れた


「顔、見せて」
「僕のかお……いま、ぐちゃぐちゃ……」


そう言って瑞稀君は俺の服に顔を押し付ける


「俺もぐちゃぐちゃで恥ずかしいけど、瑞稀君の顔見るために我慢するから瑞稀君も、ね?」


そう言ってまた髪の毛に口づけをすると、ゆっくりと瑞稀君が顔を上げてくれた


久しぶりに見る「瑞稀」じゃなくて「瑞稀君」の顔


瑞稀君の言う通り涙でぐちゃぐちゃだけど、ちゃんと俺を見てくれるのがわかって

愛しさのあまり何も言わずにキスをした

ストーリーメニュー

TOPTOPへ