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誰も見ないで

第9章 何度でも好きになる

渡辺湊斗目線


部屋がしんと静まり返る中


あぁ俺、ほんと馬鹿だ


って思った


記憶がない瑞稀君に
安心してもらえるように作った嘘の家族

兄弟っていう設定

笑って話してくれるようになって
心を許してくれてたのに


全部壊してしまった

大馬鹿だ


でももう
自分の気持ちを偽るなんて出来なかった


父さんと母さんに何て説明しよう
それより今は、この状況をどうやって切り抜けるか

だよね


何か良い言い訳を、と考えていた
その時


「……っ」


目の前にいた瑞稀君も泣き始めてしまった


「あ、わ……っ、ご、ごめんね……? さっきの、全部うーーーー」


さっきのは全部嘘だから
と言おうとした

その口を柔らかいものに塞がれて


俺の腕の中に激突するように何かが滑り込んできた


俺の胴体に回された細い腕、と
顔に微かに当たる柔らかい髪
そしてじんわり服越しに感じる高い熱が


瑞稀君だって認識するまでにすごく時間がかかってしまった


そろ、と手を動かして背中に触れると


「……ぅ、く……ひ、ぃ……っ」


瑞稀君の嗚咽が大きく聞こえた

触れた背中は、小動物みたいに震えている

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