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誰も見ないで

第10章 同棲


「湊斗ごめんねぇ……」
「本当ならもっと早くに戻らなければいけなかったのを延期して貰っていたんだ」


延期した理由は瑞稀君のことがあったからだってわかってるから、むしろ感謝したいぐらい

けど気をつけて行ってきてね、と言おうとした俺の言葉より早く母さんが


「だから明日中に全部手続き終わらせるからね」


と言った


「? 何の?」


隣にいる瑞稀君もきょとん、としている


まだ何か手続きとかあるの?
もう終わったんじゃ


「瑞稀君の家引っ越ししないとでしょう?」
「え、何で?」
「瑞稀君のおうちの契約者のお父さんがいなくなっちゃったんだから、あの家は解約よ? 早くしないと迷惑じゃない」
「……あ……」


確かに、そうだ

俺たちの年齢じゃ家を借りられない……?


「どう、するの……?」


突然突きつけられた現実にびっくりして、顔を青くしながら聞くと母さんは不思議そうな顔をしている

そして当然のように


「今使ってる部屋に荷物を移動させたらいいじゃない」


と言った


「…………」
「…………」


理解するのに時間がかかって


「えっ、いいの?」
「そんな悪いです!」


瑞稀君と同時に違った反応をした

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