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初恋

第3章 記憶のかけら



だからせめて、温かい飲み物を買ってやることにした。


俺はいつもズボンにポーチを提げていて、発作時用の薬を常備している。


そこに一緒にいれてあるお金を取り出して、千円札を一枚、自販機に吸い込ませた。


ランプが点滅する。



「なに飲みたいの」


「え、なに?なに?」


「飲み物。買ってやるから」


「いいの!? じゃあ牛乳ー!」


「…っ…冷たいの駄目」



というか牛乳なんて自販機で売ってないだろ。



「え、駄目なの?うーん、じゃあ…じゃあ…っ…。決められないわ」



横でうだうだ言ってる間に、俺は自分用にお茶を買った。


それから待ってやったけど彼女は決めきらず、らちがあかないので強制的にココアのボタンを押した。


ミルクココアだから牛乳もはいってる。



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