初恋
第4章 赤い屋根のうえ
「どこに行くの?」
まぁいきなり手を引かれても戸惑うのが当然だよな。
君の家だと伝えると、飛び上がるくらいに彼女は驚いた。
いや、実際ちょっと跳ねてた。
「どどどどうして、わかったの!? すごいわあなた!エスパーなの!? 」
「…っ…屋根があるってことは、君の家はマンションじゃなくて一軒家だろ。この辺りで団地は多くないし……それに」
「それに……?」
「まぁたぶん、見つかる」
「……!」
丸くした目で見つめられて、俺は少し得意になる。
正直なところ正確な場所はまだわからない。けど、目星はついていた。
いま歩いているのは路面電車も通る大きな道路で、このまま行けば街の中心部に着いてしまう。
俺は行く先変更の指示とともに、彼女を引っ張って横断歩道を渡った。