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ファンタジー短編集

第5章 夢の中の少年

 こんな夢を見た。

 夏のある晴れた日の朝。

 どこか小さな島の公園で私は、とある少年に出会った。

 珍しい綺麗な金髪。透き通る青い瞳は、しっかり私の黒目をとらえてる。

「どうしたの? お母さんとお父さんは?」

 私は少年に聞く。

「居ないよ」

 少年は悲しそうに俯いた。

「どこの子? 名前は?」

 私はごく普通の疑問を投げかける。

「昔、ヨーロッパに住んでて日本……つまりここに来た。名前は、アトラス・レンジェ。レンって呼ばれてる。お姉さんは?」

 レンの瞳は、また私をとらえ直した。

「咲野由羅(サキノ ユラ)。レンは何歳?私は、十七歳の高三。この場所には逃げてきたの」

「十三歳、中二。由羅さんは、何から逃げてるの?」

「日常に疲れたから。学校も勉強も人間関係も全部全部。色んなこと全てから解放されたかったの」

 レンから目を離し、空を見上げる。

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