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夢で会えたら【短編】

第1章 1.同級生と再会

SNSで昔好きだった弘樹くんを偶然見つけ、すぐに連絡。すぐに会うことになった。高校卒業後会っていないから2年振りだ。

待ち合わせ場所で待っていると
「あ、京子ちゃん、すぐわかったよ」
弘樹くんが昔と同じ笑顔で駆け寄ってくる。
「久しぶり…」
なんか恥ずかしくて目が見られない。
「どうしたの?ご飯行こうか?」
「ううん、何にもないよ、行こ?」



昔話で盛り上がって、気づけば終電間近。
楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。
もうちょっと一緒に居たい…また会いたい…
「じゃあ京子ちゃん今日は楽しかったよ。そろそろお開きにしようか」
「え、でも、私もうちょっと…」
「どした?俺明日は彼女とドライブデートなんだ。
終電で帰るよ」

さぁーーと心が冷えていく気がした。私ばっかり盛り上がって、彼はなんとも思ってなかったんだ。
そう思うと悲しくて涙で視界がにじむ。

「えっ、えっ、どうしたの?調子悪いの?タクシー呼ぶ?」

私は心を決める。一度でいい、一度で忘れるから、
「ねえ、抱いて?抱いてよ」

「??」

動揺している弘樹くんを最寄りのホテルに引っ張りこむ。
ベッドに突き飛ばして、部屋のドアを閉めた。

「京子ちゃん?話があるなら聞くよ?」
「何も言わないで、恥かかせないでっ」
(高校の時から好きだったの、そして今も。彼女にはなれないなら最初の最後に一度だけ。私の全部の初めてをあなたにあげるの。)そう心に念じる。

「京子ちゃん…」
覚悟を決めたのか彼がそっと近づいてくる。
後10センチで目を閉じ、キス。
初めてのキスはレモンの味とか言うけれど、わたしの場合は涙の味だった。

涙を見られないように彼から顔を背け、下着姿になる。彼はもう何も言わずに私を見ている。
彼にすりより、自分からキスをする。経験豊富なふりをして。

彼がそっと胸に手を伸ばす。指先が素肌に触れて、
「あっ…」と声が出て、身体が震えた。
彼は慌てて手を引く。
「やっぱりこんなことやめよう、京子ちゃん。まだ戻れる。初めてなんだろ?」
「お願い、続けていいから…」
「京子ちゃん!!」

「好きだったの!ずっと!今でもよ、だから連絡したの。それなのに彼女がいるなんて!」
「………」
「もうあなたを忘れるつもりよ。でも最後に一度だけ…」

私の言葉は彼のキスに飲み込まれた。
突然の荒々しいキス。



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