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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第5章 指定避難所だから・・・

『おいしかった・・・ごちそうさま』


マリアがようやく食事を終えて
(食・・・細っ…)

満足気に…また丁寧に
両手を合わせた。



『デザートとか食う?』

『ううん。もうお腹いっぱい、ありがと』



『(笑)てかさ、なんでそんな
やたら〃皿に向けて〃拝んでんの?』

『え?・・・』



『手・・・?』

『ぇ……あぁ、~小さい時からの癖かな?』


ちょっと無自覚らしき
そんな癖。
俺は内心、微笑ましく思ってた。



『それもあるけど…ごはん食べるの
嬉しいから、つい?かな。

人の作ってくれたごはん美味しいもん。
お店だと更に?

準備も後片付けもしなくて良いし
ありがたいなぁって。
ぁ……当たり前か?』




『ふふっ……そう』




ちょっとボケ(?)かましたマリアに
軽く吹き出しながらも


なんか・・・


素直に
まっすぐ育ったヤツなのかなぁ
なんて思う。





両手でティーカップ持って
食後のお茶飲んでる姿・・・


手ぇ…ちっちぇ

なんか小動物みてぇ。
リスかうさぎがカップ持って
茶飲んでるみてぇだ(笑)


こんなちっちぇ手で

毎日、洗濯だの掃除
一人でこなしてんのか……

それこそ

365日・・・年中無休で。




そして俺は…

またひとつ、余計な事に
気づいてしまう。



カップを持つマリアの両手・・・


その片方・・・左手に


おそらく大抵のヤツにあるものが


マリアのその手にはなかった。

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