テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第6章 マリアの日記・・・

『マリア…ごめ』



『ごめんね・・・』






『え・・・』


『こんなもの・・・みせちゃって
ごめんね?』





なんで?そっちが謝る?





『・・・』


『こんなの見ちゃったら
これからって子達が…結婚嫌になっちゃう。
結婚が悪いって訳じゃない。
私の問題であって、人それぞれだから…』




『ぁ…』

『ゆぅちゃんも…そうでしょ?
まだまだこれから、だから
だから…忘れて?』




マリアのこういう心配りって
なんか俺…
胸がぎゅっと締め付けらるんだよな。





『うん・・・』





『クスッ・・・やっぱ見たんじゃん(笑)』





『ぁ"・・・』


俺…バカ。


『ふふっ・・・』

『ごめん・・・盗み見る気は
なかったんだけどさ。つい…ごめん』




マリアが屈託なく笑った。

笑って…流してくれた。


こんな笑った顔は
初めて見た。






『フフ・・・~分厚くなっちゃったな』


マリアが手帳をパラパラっと
めくりながら苦笑いした。


少し年季の入った
目立たない黒の手帳…。

いつでも持ち歩けて
家ででも、どこにでも隠しておける

それこそ旦那に見つからないように
密かに、お守りみたいに
持ち続けてたのかな…

なんて想像していた。




『それがマリアの話し相手?』

『・・・ん~』




『書くと…少しはスッキリするの?』

『それも…あったと思うけど
色々…。』




〃色々〃ってのは…
いわゆる〃証拠〃…そういう
意味合いだろうか…。





『人に話すのは…辛い?』


『友達とかは…これからって子も多いから
あんまし、そゆ話は…心が痛む。
それに…通じなくなってくる。
事情を知らない子も多くなって…』



バカな事を聞いてる、自分で思ってた。



例えばマリアが
自分の意思で仕事にでも行ければ

同僚に愚痴こぼすなり
年配の…それこそオバサン達に
相談したり


例えば育児をしていれば

ママ友とか言うのか?
友達が出来たりして
悩みを打ち明けたり
分かち合ったり出来たのだろう。



ひとりぼっちに
ならずにすんだんだろう・・・。



出来るなら…とっくに
やってただろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ