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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第8章 ゆるされぬ想い・・・

ベットに寝てもマリアは自然と
隅っこに寄って背を向けて寝る。


マリアも…わかってるんだ。


苦肉の策でここにいること。
なにもなくても
世間や、自分の旦那に知れたら
大変なことになるってこと。





初めてマリアに逢った時…

そしてマリアの身の上を知ってからも



俺は、その場その場で・・・

ただマリアを

避難させることで、それだけで
必死だった。



自分で思ってるよりも
後先なんて考えれてなかったと思う。




ただ・・・なんとかして
助けてやりたいって

それだけで…。




なんで?




知らねぇよ・・・


そこにそいつがいたからじゃねぇ?






マリアが…可哀想だったから?



俺の母親の昔の境遇と被ったから?





それも、事実あるだろうな。





だけど…



そんな理由って
あってないようなモンだ


俺はそう思う。




マリアが連泊することで
見えるもの、感じるもの


見た目じゃわからない
意外な一面、二面・・・


それらが俺に
ようやくというように自覚させる



この女は・・・


この女性(ひと)は


人のものなんだ…と。


人様の…奥さんなんだ、と。








俺もまったく予想しえなかったこと。




ただ夢中で

考えず、だった俺のバカなとこ



俺は…

想ってはいけないことを思っている。





だけど…これだけは言えないんだ。


俺がこれを言えば
マリアは俺をさぞ軽蔑するかもしれない。


せっかく心を開いてくれたマリアが

他に逃げ場のないマリアが

俺を突き飛ばしてでも
ここから出ていくだろう



息苦しい家に

鳥かごの中に
帰って行ってしまうだろう




マリアがまた殴られるのはいやだ。

だから…言えない。




これを言ったら…

取り返しがつかなくなる。



認めれば
後戻りが出来なくなる。


想ってはいけないことなんだ。

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