マリア
第3章 間奏曲
潤「ま、その友達の彼女に伝えてあげて?相手の男の子に優しくしてくれるんなら出来ないこともないよ?って?」
「は…はい。」
潤「…確認だけど、ホントに君じゃないんだよね?」
「ち、違います、ってば!!」
真剣な顔で覗き込んでくる先生に、僕はブンブンと頭を左右に振った。
潤「あはは。ごめんごめん。」
先生は、最初に座った場所に戻りファイルを抱えた。
潤「また、聞きたいことがあったらいつでも声かけて?」
振り向き、僕に向けられた先生の優しい笑顔にほっとする。
「あ、ありがとうございました。」
潤「じゃ、僕はそろそろ戻らないと…」
「あっ!!ごめんなさい!!忙しいのに…。」
潤「いいよ?気にしないで。」
「あの…先生は何科のお医者さんなんですか?」
潤「ん?ああ…僕は心療内科の松本、っていうんだ。」
「え?じゃ、専門外、だった、ってこと?」
潤「気にしないで?医者にはかわりないんだし?」
「…すみません。」
松本先生は項垂れる僕の頭に手を乗せ撫でてくれた。
二人で会議室を出、松本先生がドアの鍵を閉めていたその時だった。
「あれ?翔くん?」
スクールバッグを抱え、汗だくで走ってくる翔くんの姿が目に入った。