マリア
第3章 間奏曲
「俺の方が体が大きいから、別にいいじゃん?たくさん食べても。」
智「あっ!?それを言うなら僕の方が食べなきゃ、翔くんに追いつけないじゃん?」
「もう、伸びねぇ、って?」
智「ひどい!!まだ、成長期だから伸びる、ってば!?」
「俺も成長期だし。」
と、また、さらにかぶり付くと、残り少ないクレープを見た智が悲鳴に近い声をあげた。
智「もー、翔くんなんてキライだ!!」
智はスクバでバシバシと俺を殴り付けた。
「ちょ…痛い、って!?」
智「翔くんが独り占めするからじゃん!!」
「分かったよ!?今度奢るから殴るな、って?」
智「ホントに?」
「もー、智くんの甘いものの恨みはコワイからなあ…。」
智「何言ってるの!?翔くんが悪いんじゃん!?」
「はいはい。すいませんね?」
その日、俺は智を家まで送り届け、そのまま家路を急いだ。
それからの俺は、部活が終わるとすぐに病院に駆けつけた。
礼「ふふっ。翔くんてばスッゴい汗。」
嬉しそうに俺の汗を拭う礼音。
その傍らには必ずといっていいほど、智の笑顔があった。
この時の俺は、
礼音を見舞う、というよりは、
智に会うために病院に通っている、と言っても言い過ぎじゃなかった。