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マリア

第20章 奸計曲



くそ…手錠なんかかけやがって…



腕を闇雲に振り回したところで、拘束された腕が自由になるはずもなく、



俺は途方に暮れた。





そう言えば、俺の鞄は?



服は?




スマホは…。





そもそも、俺を嵌めやがった張本人の雅紀はどこ行ったんだ?



ちくしょう……俺としたことが。





もし、上手く、手錠を外せたとしてこの格好。





雅紀のやつ……





壁に寄っ掛かって息を吐く。



これ……仕返しのつもりなのか?



だとしたら、俺をどうするつもりなんだ?



こんな、危機的状況にも関わらず、俺の体は空腹を盛大に訴える。



腹、減ったな…



もしかしたら、雅紀のやつ、飯でも買いに行ってんのかな?



…いや、だとしても、あいつのくれるメシはダメだ。



さっきのスポーツドリンクのこともある。



また、何か入れてたりしたら…。



そんな惨めな葛藤を繰り返していると、



寒い寒い、と雅紀が帰ってきた。



雅「あ……」



能天気に、コンビニの袋をぶら下げて帰ってきた雅紀を睨み付けた。



雅紀はコンビニの袋を俺の目の前で広げると、



おにぎりとお茶を俺の目の前に置いた。



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