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マリア

第7章 恋慕曲



あれから俺は、



走って、



走って、



闇雲に走って、





気づいたら自分の部屋のベッドに潜り込んでいた。


お袋が部屋の外から何やら捲し立てるような声は聞こえていたけど、



何を言ってたかなんて全然覚えていなくて、





それぐらい俺は激しい自己嫌悪に陥っていた。



…最低だ。





智は、俺と礼音のことを純粋に心配してくれていた、っていうのに、





恥ずかしさと嫉妬心から智にあんなこと言うなんて…。



不甲斐ない、ほんのガキに過ぎない俺を棚にあげてまた、智に当たるなんて…。





俺は一体、いつになったら、





君と釣り合いがとれるようになるんだろう…。







雅「しょ・お・ちゃん!!」



明くる日の休み時間。



寝不足な上、朝練でいつも以上にぐったりしていた俺は、



超軽いテンションで叩き起こされ、思わず雅紀を睨み付けてしまった。



雅「んも〜!翔ちゃんてばこわ〜い!そーんな目で見ないでよ〜。」


「…何だよ?」



目を乱暴に擦りながら、


雅紀の顔がある向きとは反対側に体の向きを変えた。



雅「あっ!!酷い!!無視?」


「…ちげぇよ。で、何か用?」



面倒いな、と思いながら、



背中にいる雅紀の話に耳を傾ける。



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