マリア
第7章 恋慕曲
雅「ね、今日、駅前に出来たラーメン屋、食いにいかない?」
「…行かない。」
雅「そんな冷たいこと言わないでさあ、行こ?そこの醤油とんこつが抜群にうまい、ってさ?」
「俺、部活あるから。」
雅「そんなん、フケちゃいな、って?奢るからさあ。」
何だよ?今日はやたらとしつこいな。
「例のカノジョと行けばいいだろ?」
一瞬、雅紀が口ごもる。
雅「た、たまにはいーじゃん?男同士で?」
「…男じゃん?お前のカノジョ。」
雅「そっ、そうだけど、今日は翔ちゃんと行きたい気分なんだよね〜♪」
何だ?そりゃ?
「とにかく…」
俺は、机に顔をくっつけたまま、雅紀の顔を見上げた。
「俺、行かないから。」
そう雅紀に最後通告すると、机に突っ伏し無視を決め込んだ。
やがて、始業ベルが鳴り、雅紀の姿が見えなくなったことを確認してから顔を上げた。
…それにしても、やたらとしつこかったけど、なんだったんだろ?
ま、いいか、と、ひとりごちながら教科書を広げ、先生の方から俺の姿を遮るように机に教科書を立てると、俺はそのまま浅い眠りの中に落ちていった。
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