テキストサイズ

裏小屋

第2章 キャンプ前~キャンプ地まで

 駅からバスに乗り、ゆらゆら揺られながら山に囲まれた車道に出る。

「うわ、なつかしいな」

 桝本は背伸びをする。

「うわ、あの時と変わってないなぁ」と勝山。

「いや、お前ここ初めてだろ!!」

 こんなノリが当たり前のように、アラフィフになった今でも出る。

 バス停から道沿いに歩くと、谷に下りていける場所がある。

 現在は、立派に舗装された道があって、そこから入れるらしいが、当時は1歩目から自然の土だった。

 木の間を、滑るように下りながら、岩や砂利がゴロゴロしている沢に出る。

 ここまでは、四人のテンションはMAXハイだった。

 桝本は奥の雑木林を指差した。

「たしか、あそこから入っていったら、裏にある山道に出るんや。な、石柿」

「そうや」

 この時の「そうや」だが、本人はなにを聞かれて返事をしたのか、わかっていない。

 気が付けば、桝本の誘導により、途中までの山道を進むことになる。

 生い茂る木々の間を抜けると、正面に金網が見えた。

 金網の向こうは、雑木林というか、ほとんど森である。

 そして、そこを右に向かって進む。

 ゆるやかな上り坂。普通に歩けば、なんてことのない道だが、そこは好き勝手に物を運んできた野郎共。

 重さと暑さで、すぐにバテる。

 特にビールを入れたクーラーボックスが、命取りだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ