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裏小屋

第2章 キャンプ前~キャンプ地まで

 テント張りの基本、場所選びだ。

 ただ、平らで広ければいいわけではない。

 まさか、キャンプ経験者の石柿が、率先して石ゴロゴロの場所を選ぶとは……。

 あと、万が一の増水を考えて、川から離れてテントを設営する。

 すると石柿、不服そうな顔をして「マットを敷いたらいいねん」と言うのだが、マットなんぞ用意していない。

 予算がなかった。

 マットが無かったら、場所を考えて移動すればいいこと。さすがに、テントの薄いシートではゴロゴロ石は防げない。

 こんな場所で寝ると、石が背中に刺さる。


 石柿は自分が率先して見付けた広い場所を拒まれ、やや不機嫌そうな表情を見せる。

「確かに、まっすんが言ってることも一理ある」とか、負け惜しみを、ほっぺをふくらませながら、聞こえるように呟く。

 少し川から離れた、丘になった所にテントを張る。

「石柿、そっち側のテントを任せたで」と桝本は、四人用のテントを勝山と二人で建てる。

「おう、任せろ」

 石柿はいいところを見せたいと、テントを張ったが、一緒に手伝う馳谷が手を出すと「いや、大丈夫。任せろ」と、手をはらう。

 馳谷、テントの部品を並べては、ただ見てるだけ。
  
 桝本にアイコンタクトで「こいつ一人に任せて大丈夫か」と告げる。

 桝本は首を傾げるしかない。

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