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裏小屋

第3章 山遊びと小屋探索

 三人が戻ると、石柿が飯盒を火から離し、グツグツ煮えるカレーを眺めながら、説明の出来ない舞を踊っていた。

 場の空気を読まない、こいつの一人遊びだ。

 そして、三人を見てこう言った。

「みんな、カレーの匂いがするぞ」


 カレーを作ってるからねぇ。これで味噌田楽の匂いかしたら、なにをどう作ったんだという話になる。

 勝山が言った。

「でも、肉入ってないんやろ? なんか、味気ないなぁ……」

 それに対し桝本が「いや、石柿が魚肉ソーセージを持ってたから、肉の代わりに入れた」と、オレンジ色のビニールのゴミを指差した。

「魚肉?」

 勝山の顔が変わる。


 急いで勝山は、テントの中に入り込む。


「あーーっ!!!!」


 勝山が真っ赤な顔を出した。

「いしがきーーっ! お前、俺のリュックから出しやがったなぁーーっ!!」


 これが、我々の間で語り継がれている、「ソーセージ激怒事件」だ。

「これ、夜の酒のアテに用意してたやつなんやぞ!!」

 当時は、まだ未成年。勝山はアタリメや、酒屋で買ったフォアグラを用意していた。

「うわぁーーっ!! 1本残らず使ってるやん! お前、これ、マヨネーズつけて食うの、楽しみやってんぞ!!」

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