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裏小屋

第4章 テントの中で

 自分が酒に負けて、足がもつれたことを納得できなかったため、それを無理矢理人のせいにしていた。

 ちなみに、この時の勝山は「俺はシラフや。酔ってない」と言いながら、一人でパンを食ってたらしい。

 勝山が持ってきたCDは飽きたと、桝本が持ってきたラジオをつける。馳谷のCDラジカセにもラジオはあったが、アンテナを伸ばさなければならなかった。

 みんなで、パンを食べようと、缶入りのパンを開ける。

 そのパンは、ドライフルーツをちりばめてあり、しっとりとしたケーキのようだった。

 万が一の非常食として、桝本が人数分買ってきたものだが、高橋と馳谷は食わずに持ち帰った。

「しかし、かっちゃんになにがあったんやろ?」と馳谷が首を傾げる。

「押されたって言ってたな……誰に?」桝本は、自分でそう言って、鳥肌が立った。だが、後日談により、八つ当たりだったことが、発覚。


 外の雨は徐々に強くなってきた。

 テント内の熱気が蒸気となり、テントの内側を湿らす。

「おい、今日は快晴じゃなかったのか?」と馳谷。

「天気予報を見てきたのは、石柿だろ? どうだったんだ?」と桝本が、石柿に問う。

 石柿は頭をかきむしる。

「いや、晴れって言うてたで。でも、山の天気って、変わりやすいって言うし」

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