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裏小屋

第5章 逃げる

 ここから出よう。


 石柿と桝本は自分のテントに戻り、周りの荷物だけを片付けた。全員レインコートを着込み、テントや他残った物は、後日、回収しにいこうということになり、一先ず、ベースから逃げることにした。

 先に桝本と石柿が外に出る。

 外は大荒れで、まるで台風が接近しているかのようだった。

 勝山、高橋、馳谷も、とりあえず準備は出来たようだ。

 緊急事態により、テントはもちろん、外に置いたままのコッヘルセットや、コンロ、飯盒、固形燃料、クーラーボックスはそのままに、ベースを後にした。

 五人がいたテントは、ペグが甘かったのか、すぐに崩壊。

 ついでに、高橋と勝山が見たという小屋は無かった。

 この時、全員はあの小屋がなにかを起こしているんではないかと考えた。

 早くこの山から出よう。なにかが起こってからだと危ない。

 この時、川も想像以上に荒れており、山道に入るまでに、川をひとつ越えなければならなかったが、中腰になりながら、川の中を歩いていった。

 もし、ここで、石に足をひっかけたりすれば、濁流に足をとられてしまう。

 本来なら、これでも危険な行為なのだが、まだ、体を引っ張られない程度だとわかっただけで、思いきった判断をした。

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