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蜘蛛♠

第5章 能力者


戻りが遅い事から、架純は恭介の車がないことに気づくだろう。
それは後でたんまり謝るしかない。

車にたどり着いた恭介はすぐさま乗り込みエンジンを掛けた。
今回の胸の痛みは異常だ。確実に何かが起こる。それも悪いことが。
ならば、起こる前に阻止すればいい!!この何年かでそれが出来ることを恭介は学んでいた。
上手くこの能力を利用すれば未来予知として使えるかもしれない。
だが、厳密に何が起きるかまでは今の恭介の力では分からない。
分かるのは、いいことが起きるのか、悪いことが起きるのか。
それを予想して事前に行動すれば、未来は変えることができる。

恭介はアクセルを踏んで車を出した。
この時間だったら坂本の家まで7分もあれば行けるかもしれない。
思いながら恭介はハンドルを左にきった。
すると突然横から何かが飛び出してきた。
思わず急ブレーキをかける恭介!!
何かが接触した鈍い音。恭介は慌てて外に出る。
横たわる女性。見覚えのある服装。見覚えのある髪の毛。

架純!!!!!!

「架純!!!?おいっ!!大丈夫か!!??おい架純!!!しっかりしろっ!!!」
恭介は架純を抱きかかえ強く叫んだ。
見ると架純は靴を履いていない。ふと恭介の部屋を見ると窓が全開になっている。

架純が目を開けた。
「あはは………大丈夫です恭介さん。ちょっとだけ擦り傷です~」

「いやっ、擦り傷ってお前………なんで………!!!!!」

恭介の言葉に架純は涙を浮かべて抱きついた。
「行かなかいでください恭介さん………」

恭介の未来予知…………。
今回起きる悪いこと…………。
これだったのか??

自分のせいで架純が………。
恭介は涙を流し架純を強く抱きしめた。
「ごめん架純!!俺のせいで………。行かない。どこにも行かないよ!!ずっと架純のそばにいるよ!!!」

寒空の下で抱き合う二人。

冷たい風が二人を包み込んだ。

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