君のKISSに夢☆CHU
第12章 俺様系の兄
「んっ?どうした?」
黙り込む私を、輝愛がおでこを離して覗き込む。
合った瞳はずるい程優しくて、私の胸がズキンと痛んだ。
私が気持ちを伝えてしまったら、キスフレというこの関係さえも、解消されてしまうに違いない。
言えるわけがない…。
“貴方を愛してる。”
なんて…。
「ううん、何でもないよ。」
私はそれを悟られないように、笑顔で精一杯の嘘を付いた。
「そうか。ならいいんだけどな。俺の家行くから、疲れてるなら、少し寝てろ。」
優しくポンポンと頭を撫でて、ハンドルを握る輝愛。
誰にだって優しい輝愛の行動全てを、私は勘違いしそうになる。
私も輝愛の中では数いる女の1人にすぎない。
勘違いなんて、しちゃいけない…。
締め付けられるような胸の痛みに瞳を閉じる。
動きだした車。
大きなエンジン音。
暗い車内。
大丈夫きっと輝愛は、気付かない。
口に出せないその言葉を必死に飲み込むかわりに、私の瞳からは、涙が零れていた。
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