君のKISSに夢☆CHU
第16章 桜音の決断
結局、来騎の家まで連れて来られてしまった。
家に着いてドアを開けた瞬間、来騎の腕の中に閉じ込められた。
ギュッと力を込めて抱き締められて、逃げる事が出来ない。
いつもなら、優しい来騎の抱擁も今日はどこか強引で、私を逃さないと言うかのように、ガッチリと囲われていた。
何だか今日の来騎には恐怖心を覚える。
いつもは優しくて癒しをくれるのに…。
「来騎、翔大との事話すから、一度離して。」
「………。」
「来騎…?」
私の言葉は聞こえているはずなのに、来騎は一向に腕を緩めようとはしなかった。
話を聞こうとしない来騎に、私は少しずつ苛立ってくる。