君のKISSに夢☆CHU
第16章 桜音の決断
「来騎!ちゃんと話を聞いて!それが出来ないなら、帰るよ!」
荒い口調で来騎にそう言うと、上から静かにそれでいて、強い口調で来騎が呟いた。
「誰にも渡さない。」
そう呟かれた言葉に、ザワザワと胸騒ぎがした。
何かを決心したような来騎の強い口調。
見上げれば、獲物を捕らえる肉食獣のような鋭い瞳をした、来騎が私を見つめていた。
その瞳に捕らわれて、体が動かなくなる。
こんな来騎は見た事がない。
今の来騎には、理性なんてない。
話し合いとか、そんな事は出来る状態ではない。
ここに居ては危ない。
そう感じた私は来騎の腕を振り払おうとした。