君のKISSに夢☆CHU
第16章 桜音の決断
そんな事、深く考えた事はなかった。
輝愛に出逢って、輝愛とKISSをして、いつの間にか、当たり前のように、輝愛を好きになっていた。
理由とかそんなものはなく、本当に自然に恋をしていた。
そう、私が求めてた運命の相手。
でも、輝愛にとって私はただのキスフレ。
あれから輝愛と私は、KISSをしても、体を重ねる事はなかった。
それでも、やっぱり輝愛を好きな自分がいる。
「輝愛だから好きなんだと思う。理屈とかじゃなく、直感で好き。」
「………。」
「ごめんね。来騎の気持ちに答えてあげられない。」
「兄さんを好きになっても、無駄だよ。兄さんはもう、誰かを愛したりしない。」
「…え?何で?」
「兄さんの家で写真見た?あの人の事、兄さんは今も愛してるから。」
「彼女なの?」
「正確には彼女だったって言った方がいいかな?」
「どういう事?」
来騎はジッと私の顔を見て、静かにこう言った。
「彼女はもう、この世にはいないから。」