君のKISSに夢☆CHU
第18章 過去から未来へ
私達が梨果さんの前で瞳を閉じて、手をあわせた時だった。
今まで緩やかだった風が、急に強く吹いた。
驚いて瞳を開けると、私達の頭上にヒラヒラと綺麗な蝶々が舞っていた。
その蝶々が、ゆっくりと降りてきて、輝愛の肩に静かにとまった。
そしてとまったまま、羽をゆっくりと、5回動かす。
輝愛と私は、その不思議な光景をジッと見つめていた。
羽を動かし終えると、また私達の頭上をクルクルと回って、私達との別れを惜しむように、天高く飛んで行った。
「梨果…ありがとう。」
その蝶々を見送りながら、輝愛が優しく囁いた。
「うん。私もそう思う。梨果さん、ありがとう。」
二人爽やかな風が吹く丘の上で、天高く上がっていく彼女をいつまでも、見つめていた。