君のKISSに夢☆CHU
第7章 来騎の事
「ねぇ、この前女の子達が言ってたけど、来騎はモデルやってるの?」
「うん。そうだよっ。」
「知らなかった。でもさ、街で声かけられるなんて、人気あるんだね。」
来騎が何だか寂しそうな表情をして答える。
「彼女達は僕の容姿が好きなだけだから。桜音には本当の僕を見て、好きになってもらいたいんだ。」
「…うん。」
「だから、今日こうやって僕の事を知ろうとしてくれて、嬉しかったんだよ。」
来騎が照れたように笑うから、何だか私まで恥ずかしくなっちゃった。
「そうだ!僕の家のマンション、あれは両親が住んでたんだけど、今二人とも海外にいるから、僕が1人暮らしなんだ。兄さんはずいぶん昔から、1人で暮らしてるからさ。」
少し黙って来騎が続ける。
「だからさ、誰もいないから、また遊びに来てよ。あの家には桜音しか入れないから。」
真っ直ぐに私を見つめる来騎の瞳は、すごく澄んでいて、真剣だった。
「ありがと。また行かせてもらうね。」
「今度はKISSだけじゃ、帰せないかもだけど…。」
耳まで赤くして来騎がそう呟いた。