テキストサイズ

Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第15章 神様のイジワル

『ちょっとトイレ行ってくるわ…』




『・・・。ん・・・母さん?ちょっと』




オレはコートを差した




『・・・∥あれ∥』




『え・・・』





最終セットの中盤

リョウキが再び

コートに戻されていた





『・・・確実に勝ちたい。ってのは

そりゃ当然だよね・・・~』




『・・・』


チラリ

母さんは得点を見返す



弟が言うには

その世界・・・


そんな厳しい世界に

∥情∥はないらしいけど



それこそ

最後だから、って

年長者が必ず試合に出られるとは限らず



コートに呼ばれるのは

年功序列ではない



コートに呼ばれるのは

いつだって

そこにある【一点】を

もぎ取れる人間。



そんなことを

言ってたっけな。




だけど、チームとして

後輩として

弟たち本人には

少なくともそういう気持ち



先輩に花道をつくりたい

花を持たせてやりたい



そんな気持ちだって

あるはずで



∥4年生を勝って終わらせたい∥

なんて

顔にも似合わず

健気な事を言ってた弟。




本意か、不本意かは知らないけど

本来の…一番の目的である

チームの【白星】のために

再びコートに戻るリョウキ





コートから、そこそこ離れた観客席

表情までは見えないけど




弟は…最後まで必死に

そのゲームに

食らい付いていた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ