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KIND KILLAR

第7章 What you see in your eyes

O side



O「ホントに行っちゃったし・・・。」



ほんのさっきまで激しくキスを求めていたのが嘘みたいに、目を白黒させて家を飛び出して行った翔くん。



熱が出てるっていうのに、あんな走って大丈夫かな。



まあ松潤のとこに行くって言ってたし・・・。



オレよりケアはしてくれるだろう。



それより、問題は。



O「なんで説明する前に出てくかなぁ・・・。」



言い訳をさせてほしい。



決して作者が「あーエロシーン書きてー。」となって書いただけじゃないのだ、アレは。



オレがキスして、「なんだよ、気持ち悪いな。」みたいになった翔くんに、「実はオレ、昔こーゆー仕事してたんだよー。」とカミングアウトする算段だったのだ。



そしたら、計算違いで翔くんがキスに乗り気になっちゃって。



いや、オレもあの息継ぎしたとこでさ、やめようと思ったんだよ?



でもなんか頭をグイッて引き寄せられてさ、あんなイケメンな表情で見つめられてさ?



昔の初恋が蘇っちゃったんだよね。



まあ翔くんがあそこまで暴走するとは思わなかったけど。



・・・でもまあそうなるよなぁ。



オレだって好きな人にキスされたらヤル気になっちゃうし。



ただ。



O「アレは受け入れちゃダメなやつだったよなぁ。」



経験上わかるんだ。




ガチのキスと遊びのキス。



ガチのやつは、こっちが受け入れてしまうとズブズブと深みにハマっていって抜けられなくなる。



もう、あんな思いしたくない。



きゅっと唇を引き締めて、ベッドから出る。



ふと、鏡に映る自分が目に入った。



その像に、嘲笑して呟く。



O「また、捨てられんじゃねぇの?」



思ったよりも、その言葉は虚しく響いて、いたたまれなくなった。



・・・フロ、入ろ。



男娼だった頃のように身体に浮かんだキスマークに気づかないフリをして、鏡から目をそらした。

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