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今日も明日も 2nd season

第1章 見えない鎖 Ⅸ


何か、なんて考えなくても分かった

かずくんの唇だ

ふわりと掠めただけですぐに離れてしまったけれど、間違いなくかずくんが俺にキスをくれた


「かずくん…」

「あの…っ、ごめん、なさ…」

「怖くないの?」

かずくんが首を少しだけ横に振った


「本当、は…怖い、けど。…でも、まーくんなら…、えっと……」

「…俺からも、していい?」

「え、あ…」

「したい」

かずくんが、ギュッと目を固く瞑った

それが了承の意味だと、分かる

握る指はそのまま、背中を叩いてた手を頬に添えて

噛み締めた唇に、今度は俺から愛しさを込めて

包むように、自分のそれを重ねた


「ゆっくり、慣れていこうか」

「え、」

「だってこれからは、いっぱいキスするつもりだけど」

ニッ、と笑ってかずくんを見たら


かずくんは困ったような、戸惑ったような

複雑な顔をしながらも顔は赤く涙目のままで


「はい……」

小さな声だけど、はっきりと頷いてみせた

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