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「ですよね。俺、バカだし…」

「おう！バカな奴程可愛いってもんだ」

わざと先輩が明るくしてくれてるのが痛い程分かる

だけどそれが、かずくんを取り戻すのが簡単な事じゃないのを嫌でも実感してしまうのは、もう仕方ない

だって何をどうしようと、かずくんを連れ去ったのは実の兄だ

ただかずくんを引き離せば済む話じゃない

それくらいは俺にもすぐに理解出来る


ましてかずくんは「子ども」じゃない

いくら精神的に幼く、脆くても「大人」なんだ



「おい、深く考えんな。また嵌まるぞ」

「先輩…」

「面倒な部分は大野に任せろ。お前はとりあえず弟くんを連れ戻す事だけ考えろ」


「ありがとう、ございます…」

先輩の優しさが怖いくらい嬉しい

こみ上げる何かに思わず鼻を啜った瞬間



「泣くのは見つけてから！」

また容赦なく、頭をバシンと引っ叩かれた


続く