無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

自分からなんて、まず言わない智から聞こえたのって

…空耳じゃないよね？


「えーと、智クン？」

「何で、我慢すんの？」



いやいやいや
せっかく我慢してるのを、なぜそこで水を差す？




「…なーんてね、ほら、翔ちゃん早く寝よ！」
“少しは寝なきゃ持たないだろ！“

に、と笑った智がくるりと背中を向けた

「え、ちょ、智？」

良く分からない展開に取り残されて、思わず半身を起こすと


「…後10日、頑張れよ。そしたら翔ちゃんの好きにしていいから」

背中を向けてるから顔は見えないけど
耳を赤くしてるのは分かる

多分、智なりの応援なんだろうとは思うけど



…これ、かなりキツくね？

目の前に人参ぶら下げてお預けくらった馬って、こういう心境なんじゃないの？

そこまで誘って、これ？



寝ろ、と言われた処ですっかり目が冴えてしまった俺は

あっという間に眠りに落ちた智とは裏腹に

結局一睡も出来ないまま朝を迎える羽目になってしまったのは言うまでもない