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「ほら、にの…食べなきゃダメだって」

あまり箸が進まないのを目敏く見つける雅紀がその度に口煩く言う

「飲む時はあんま食べれないんだよ」

「酒だけじゃ、体に良くないでしょ？」

そう言う問題じゃなくて

飲むから食べないっつーの

なのに

そんなのはお構い無しな雅紀は、とにかく食えと煩くて

自分のテリトリーだからなのか、やたら強気な態度に押されて

俺もいつも以上に食べてしまった



「も…マジ無理」

「えー…食べてないじゃん。だからそんなに華奢なんだよ」


ほっとけよ
お前と一緒にするなよ



だけど

俺を凄く気遣ってるのは嫌って程伝わってきて

…それをどこか嬉しく思ってしまっている自分がいて


何だか調子が狂う
俺が俺でいられなくなる



「マジでもう食べれないっての！」

「あ…ごめん」

ちょっと声を荒げただけで、シュンとなるなよ

強気に出たり、弱くなったり

…本当雅紀が分かんないよ



その後は雅紀もおとなしくなって

それこそ何で俺がここに来たのかすら聞く事もなく

テレビの音だけが聞こえる中
ただ、二人ともちびちびと缶ビールを進めていた