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今日も明日も 2nd season

第6章 1周回って好きになった


走った
ひたすら走った

後100メートル
50メートル

…ゴールはすぐそこ!


「はい、ダメー」

「何でだよ!」

ジリジリと閉められていく門は
後1歩と言うその目の前で、容赦なくピシャリと閉ざされた

「残念でした。はい、生徒手帳出して」

閉められた黒い鉄の門に縋りついて喚く俺なんてまるで無視したそいつは、手だけ出して顔すら見ない

「間に合ったはずだろ!」
「後2秒早ければね」

「2秒って……」

今日はツイてない日だ

だって“さっさと出せ“ と手を出し続けるこいつは

風紀委員の中でも一番厳しい、と言われる奴だったから




「見てたよー」
教室に入った途端、机に突っ伏した俺にニヤニヤしながら話し掛けてきたのは

親友、とも言える

「大ちゃん……」

大野智、だった

「2秒くらいいいじゃねぇか」
「まあ、今日はにのちゃんだし仕方ないんじゃない?」

“にのちゃん“ 呼び名と見た目は可愛いけど中身はどSの悪魔な風紀委員


俺はこいつが大っ嫌いだ

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