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夢風鈴

第1章 夢風鈴


 二つの布団をくっつけて、その真ん中で大の字になってぐっすり眠る美蘭。

 「美蘭は寝相悪いな。
夜中はコロコロ転がってるし……
元気でお転婆で可愛くて。
それでも育てるって大変だよな!

 子は親の思うようにはいかない。
だから、親も我慢の種を植え付けられて、自分の中で芽を育てたり、花を咲かせる。
その花は、一生掛けて育てるから、どんな花なのかは、まだ分からない。
俺も凜子も、親三年生だもん。

 でもさ、生まれた美蘭には責任あるもんな。
この子が大人になるまでは、ちゃんと親しないとさ………その………凜子と二人なら出来る!」


 「うん。そうだね。
ちゃんとしないと。
手術、受けるよ。
まだまだ、生きたいもん!」

 「なぁ、凜子、俺も不思議な話、していい?」

 「何?」

 「さっき言った事、凜子が実家に帰った日に、お母さんが俺の夢枕に立って言ったんだ。
そういうのはあんまり信じない方なんだけど……
でも、何だか気になってさ……
不思議なんだけど、このままにしてはいけないって思った。

 実際、凜子は大変な思いをしていたし、本当、鈍感にならなくて良かったよ」

 『お母さん、いろんな所に現れますね。
心配させてごめんね』

 「ねぇ、お母さんは、どんな花を咲かせたんだろうね?」

 【リンリーンリーン………………】

 風にそよぎ、風鈴が鳴る。

 『フフフ。
今に分かるよ。
でも、秘密。
子育ては、親の数だけいろんな花があるから……』


 そんな風に聞こえたよ。




END


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